ミュシャ展へ行ってきました
3月18日にミュシャ展へ行ってきました。
ミュシャと聞くと、線のクッキリ感が印象的な絵柄のポスターのイメージが強いですが、今回の目玉は「スラヴ叙事詩」という20点構成の巨大な油彩画。
以下、率直な感想です。
- 柔らかいグラデーションと、しっかりと面でとった平面の塗りの融合。
細かな階調の上に、メリハリのある塗り。
これは私の「絵画」という言葉に対するイメージと一致はしない。
イラスト・漫画・アニメに近い印象。
よく“浮世絵”と言われているのも目にしますね。 - 人の質感が凄い。肌、表情・視線。
誇張表現が上手く、カッコ良い。
これもアニメらしく感じる理由の一つだと思う。 - 光源は維持しつつも、強弱などに関しては曖昧。
写実ではない事を前提に見ないと、違和感を感じる... が、画力があり情景にリアリティがある為、見ている内に誤解しそうになる。 - 主役が影になっている事が多い。
描こうとしている物が、物の形や視覚的な物ではない... という事なのだろうか。
ドラマチックではあるものの、歴史やスラヴに詳しくない私がぱっと見ただけではテーマが分かり難かった。
説明を読んで、絵の中を探し、「あ、奥のあの人が主役か!」となる事が多い。 - 主題は対比する物があってこそ引き立つという事を実感させられる。
- 象徴的要素のコラージュ。まさに“象徴”。
- 習作も良かったです。
巨大な下絵に正方形のグリッド線が残っているのを見て、凄い人でも感覚だけで制作を推し進めたりはしないという事を見られた様で感動しました。
ただ距離を測りたいだけかもしれませんし、ミュシャがデザイナーだからなのかもしれませんが。
▼撮影OKエリアにて撮影
暗い中に人の肌と目が浮かび上がる。
物だけでなく、空間を巻き込んだ“質感”が印象的。
一人ひとりの表情の描写が細かい。
塗りの複雑さよりも、これがディテール感を上げている様に思えた。
美術展でこの客数は中々ないですね... 見て回るのが大変でした。
絶大な人気を誇り、賛否両論が絶えない印象のミュシャ。
これだけ影響を与え続けている事実だけでも相当凄いです。